事業等のリスクについて

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、リスク管理委員会にてグループ全体のリスク評価を実施した結果、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に特に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクおよび法的規制に関するリスクは、以下のとおりです。ただし、以下のリスクは当社の全てのリスクを網羅したわけではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、2026年3月期末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 主要なリスク

① 原価高騰及び事業環境の変化が収益性に影響を及ぼすリスク

[リスクシナリオ]

当社グループの事業は、多数の協力会社との協業や、原材料や資材の調達等によるサプライチェーンにより成り立っておりますが、国内外の経済情勢や物価動向の変化、テロや政情不安等による大規模なデモ・紛争・内乱、感染症の流行等の不測の事態が発生、または長期にわたって継続した場合、原材料や資材の高騰、または調達遅延や供給制約、物流の停滞等を含むサプライチェーンの混乱が生じる可能性があります。
これに伴い、管理物件の備品調達コストや建設コストをはじめとする原材料価格や人件費等の変動、工期の遅延、代替調達に伴うコスト上昇等が生じ、当社グループにおける原価構造及び収益性、取引条件や価格設定を含む事業運営に影響が生じる可能性があります。また、協力会社との取引に関しては、社会的要請や関連法規の動向を踏まえた対応が求められており、これらの動向への対応状況によっては、取引条件の見直しや調達先の変更を行う可能性があり、サプライチェーンの安定性に影響を及ぼす可能性があります。
これらの要因が単一的または複合的に生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

[対応策]

賃貸事業部門では、原価構造の変動を考慮しつつ、エリア特性や需給動向に応じた適切な家賃設定に加え、中長期的なコスト構造や物件価値を考慮した価格水準の改定を行い、稼働率向上に向けた施策とあわせて収益性の確保に努めております。
開発事業部門では、設計・施工の標準化や工法の見直しによる原価低減の推進、主要資材の価格動向の継続的な把握及び複数調達先の確保、工事実行予算及び工期管理の高度化により、コストの抑制に努めています。これらの取組みによって、特定の協力会社や供給先への依存を低減し、サプライチェーンの混乱が生じた場合における事業への影響の最小化を図っております。
また、受注段階においては、外部環境を踏まえた収益性の検証を行い、価格動向や市場環境を適切に反映した価格条件や新築供給エリアの設定及び契約内容の慎重な検討を行うことで、原価変動による収益への影響の低減を図っております。加えて、協力会社との取引においては、社会的要請や関連法規の動向を踏まえつつ、安定的な取引構築に努めております。今後も経営環境の変化に注視しつつ、原価管理体制の強化及び収益性を重視した事業運営を継続することで、業績への影響を可能な限り低減するよう努めて参ります。

② 自然災害・気候変動に関するリスク

[リスクシナリオ]

当社グループは、国内及び海外に事務所、アパート物件等の施設を展開しておりますが、地震や台風、水害等の大規模な自然災害により、従業員や顧客、施設、物件等への直接的な被害のほか、通信ネットワークの遮断等による間接的な被害を受ける可能性があります。
これらの災害が発生した場合、事業活動の中断等による損失、各事業で管理・運営している物件に対する点検や応急処置の実施、その他社会的な支援活動を行うための費用等が発生する可能性があります。特に、首都直下地震が発生した場合には、本社及び本社従業員の被災が想定され、事業活動や社内システムに大きな影響を受ける可能性があります。
これらにより、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

[対応策]

当社グループでは、重要な事業を中断させない、また中断しても短期間で復旧させるために、「社内被害」と「事業被害」を速やかに把握し、復旧活動・被害拡大抑止に向けた適切な事業継続計画(BCP)を策定しております。その一環として、被災時における指揮命令系統の明確化及び権限委譲の整理を行い、より機動的な初動対応が可能となる体制の整備を進めております。
また、復旧工事における体制・対応基準・プロセス等を定め、安全確保と早期入居再開に向けた指針を整備しております。
さらに、当事業年度においては、災害発生時の迅速な意思決定及び対応体制の強化を図るため、役員を対象とした実動訓練を実施しました。加えて、54期以降は訓練の対象を従業員まで拡大する計画としており、当社グループ全体で迅速な対応が可能となる体制の整備を進めております。
引き続き、リスク管理委員会の下部組織である分科会の一つ「経営戦略・財務」に関する分科会において、自然災害・気候変動への対策に焦点を当てた協議と対応を行ってまいります。

③ ITシステム及び情報セキュリティに係るリスク

[リスクシナリオ]

モバイルPC業務や外部パートナーとの連携により、重要な情報データにアクセス可能な端末が増えることで、サイバー攻撃の標的となる可能性が高まっています。
ランサムウェア被害等における意図的な行為により、システム停止やお客さま情報の漏洩、建物管理全般業務遂行の停滞、お客さまやお取引先さまへの損害賠償責任や当社への信頼低下が生じる可能性があります。
また、取引先企業を踏み台にしたサプライチェーン攻撃や委託先におけるセキュリティリスクが顕在化した場合、外部に個人情報が流出する可能性があります。
さらに、AIの急速な技術進歩と普及に伴い、様々な分野でのAI活用が進む中で、プライバシー侵害・個人データの外部流出、ハルシネーションによる誤情報の使用、著作物の意図しない商用利用等による知的財産権侵害により損害が発生する可能性があります。
これらにより、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

[対応策]

ISOやNIST(米国国立標準技術研究所)のセキュリティフレームワークを参考に、当社ではさまざまな情報セキュリティ対策を実施しています。
まず、情報セキュリティに関する専門部署を中心とする連携体制と統制を強化し、外部からの攻撃への対応や非常時を想定した定期的な訓練、さらには脆弱性診断を継続的に実施しています。
また、新規取引の事前審査に加えて、既存取引についても定期的なセキュリティチェックを実施し、情報セキュリティマネジメント体制を継続的に確認しています。
さらに、AIにより高度化・多様化するサイバー攻撃に備え、中長期的視点でフィルタリングやPC端末、クラウド環境のセキュリティ対策を強化しています。
外部セキュリティ企業との連携によりSOC(セキュリティオペレーションセンター)でのモニタリングを実施し、「情報処理安全確保支援士」を専門人材として社内に配置しています。
機密情報の漏洩防止については、予防・検知・発生後の3段階における対応強化を進めるとともに、脆弱性診断などを通じて現状の対策実施状況を評価し、リスクレベルを定量的に把握しています。
また、環境変化に対応するため、情報セキュリティ及びデータ保護に関する規程の改訂を継続的に行い、全社員に対してコンプライアンス研修や情報セキュリティ教育(eラーニング、標的型攻撃メール訓練等)を実施しています。
社員によるAI利用についてはガイドラインを整備し、リテラシー向上を推進しています。サードパーティAIについては「学習不使用」「保存不可」「オプトアウト可否」を基準として導入時に審査を実施しています。
引き続き、リスク管理委員会配下の分科会「情報・システム管理」において、ITシステム及び情報セキュリティ対策に関する協議と対応を進めてまいります。